++甘い罠++
初等部寮の棗の部屋の台所で泣きながら蜜柑が手作りチョコを作っている。
本当は手作りのものではなく、お店に売っているチョコを買おうと思っていたのだが
今から丁度2時間前……。
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明日でバレンタインデーと言う事もあり、初等部B組の女子達は
バレンタインデーの話題で持ちきりだった。
クラスの女子の大半は、棗と流架の2人にチョコをあげる気満々だが……。
『もうすぐでバレンタインデーだけど蜜柑ちゃんは誰にチョコをあげるの?』
『う〜ん……ウチがあげる相手は……蛍や!』
蜜柑の一言に、蛍がバカン砲をお見舞いした。
『うぅ〜…何するんや〜蛍ぅ〜〜……(涙)』
『アンタって本当に馬鹿ね…。
バレンタインデーは女が男にチョコを送る日なのよ。
異性じゃなくて同姓にあげる人が何処にいるのよ』
『棗君にあげるの?』
『そうやな〜……』
ここで棗と流架にチョコをあげるなんて会話をスミレ率いる"棗・流架ファンクラブ"の女子達に聞かれたら
面倒な事になると思い、チョコをあげる相手に選んだのは……
『翼先輩と殿先輩や!!』
こう答えた。
『……(怒)』
蜜柑がバレンタインのチョコをあげる相手を聞いた棗は、眉間に皺を寄せ額に青筋を浮かべる。
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『ちょっ…棗ぇ……離してよぉ!!』
『………』
放課後になり、蜜柑はセントラルタウンで翼と明良の為にバレンタインチョコを買いに行こうとしたが
誰もいなくなったのを見計らい、棗は蜜柑の腕を掴み、強引に人気のない所へ連れて行った。
連れてかれた場所は勿論、棗の部屋。
『何やの!?人をこんな所へ引っ張り込んで……!!』
『影野郎と日和見ジジィにチョコをあげるってのは本当か…?』
獲物を狩るハンターであるかのように、蜜柑を壁際の方に追いつめようと
ジリジリと少しずつ近づいて行く。
棗の只ならぬ様子に、蜜柑は逃げ道を探そうと必死に視線を逸らす。
『だっ…だって…アンタは…甘い物なんか嫌いやろ…?』
『影野郎と日和見ジジィにチョコなんて贅沢だ。
お前は俺様のチョコを作れば良いんだよ』
『棗はチョコを沢山貰ってるんやからえぇやないか…』
『俺様は、お前の手作りチョコだけが欲しいんだよ。
素直にチョコを作るのと…』
『!?』
棗の両腕の柵によって、完全に逃げられなくなってしまう。
『バレンタインの当日、俺様と一夜を共にするのと…どっちが良い?』
まさに絶対王政とも言うべき選択肢だ。
素直に手作りチョコを作る以外、逃れる術は無かった。
『わ…分かった…分かりました!!!!!
チョコを作ります。作りますから勘弁してぇ〜〜(涙)』
『フン…最初から素直に俺様にチョコをあげると言えば良かったんだよ。
お前が、ちゃんと俺様にチョコを作ってくれるかどうか見張ってるからな。
逃げられると思うなよ…?』
ドッカリとソファーに腰をかけ、棗は蜜柑に厭らしい目線を送る。
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「棗さん…チョコが完成しました……」
「ほぅ…お前にしては上出来じゃねぇか……」
「ラッピングの材料は、ウチの部屋にあるから取ってくるわ…」
チョコを包装すると言う口実をつけて逃げられるチャンスかもと思い
蜜柑はチョコを持って自分の部屋に帰ろうとする。
「待てよ」
…が、棗に腕を掴まれてしまい。
ベッドの上に押し倒された。
「あの…ナニヲナサイマスノ…?」
「バレンタインデーの前夜祭として…」
棗は背中に悪魔の羽根を生やした悪戯盛りの少年のような笑みを浮かべ
「頂きます…v」
「嫌やぁ〜〜〜約束が違うやないか〜〜〜!!!!!」
「選択肢は1つだけとは言ってない(しれっと)」
巧妙な手口を使って蜜柑を美味しく頂きましたとさv
終わり
後書き
お待たせしました。
ピーチミント様からのリク小説をアップしました。
バレンタインデーのシーズンでもありますので期間限定フリー小説にします。
リクしてくださったピーチミント様だけでなく、こんな駄文小説でも欲しいと言う奇特な人は
煮るなり焼くなり好きにしてください。
お持ち帰り期間は、2/11〜2/28までとします。※配布終了しました。
持ち帰った人は、転載日を必ず明記してください。
では、このへんで…。
2006.2.11