「蜜柑、今日部屋に行っても良い?」
「もちろんやvV珍しいなぁ、蛍から来たいだなんて☆」
「ちょっとね……」
二人の会話に棗は嫌な予感がした。
その予感は的中するのである。
【おあずけ】
「蛍、何して遊ぶ?って、何やっとるの?」
蜜柑は蛍の不思議な行動に首を傾げた。
「新しい発明品よ。ちょっと試してみようと思ってね。」
蛍は壁に耳のシールや目のシールの様な物をペタペタ貼っている。
「壁に耳あり、目ありって言うでしょ?」
「盗聴器と盗撮器?」
「失礼ね、監視カメラって言って欲しいわ。」
「あんまりかわらん気がする」と言う蜜柑を無視して蛍は着々と付け続けた。
「よいしょっと。」
蛍が最後に置いたのは警察官風のロボットだった。
「これは何なん?」
「守〜るくんよ。このロボットは貴方の大切な物を変質者から守ります。」
蛍はカメラ目線でバッチリ決めた。
「そうなん?でも、ウチは盗られて困るもんなんてないよ?」
ちょっと哀れだが確かにシングルの蜜柑には盗られて困るものはそうそうない。
「変質者の侵入を防ぐか試すだけよ。セキュリティ機能が動くか見たいしね。
あ、もちろんこの試供品はあげるわ。」
「蛍がウチにくれるなんてvV大切にするな♪」
蛍の策略を知らない蜜柑は嬉しそうだった。
***
「ったく今井のやつ、何考えてんだ?」
「棗、盗聴は良くないよ」
「ルカだって気になってたじゃねえか。」
「俺は別に……」
棗と流架は蜜柑達のことが気になってこっそりドアの外で立ち聞きしていたのだ。
「これで誰一人としてこの部屋には忍び込めないわ」
「蛍、ありがと―っ」
部屋の様子は見えないがドアの外の二人には蛍の黒い笑みが見えた。
「上等じゃねえか!」
「棗?」
「あんなヘボいロボットに負けてたまるかっ」
棗は蛍に闘心を燃やした。
―その晩―
「ここ、星なしの部屋だよな?」
「あぁ。鍵開いてるぞ。」
棗の取り巻きは何故か蜜柑の部屋の前にいた。
すると――
「イラッシャイマセ。ゴヨウケンハ、ナンデショウカ?」
と言いながらロボットが出てきた。
「用件、たってなぁ?」
「えっと……ι」
取り巻きが必死に答えを探していると、ロボットは何処からともなくハタキを取り出した。
「ヨウノナイモノハ
ヘンシツシャトミナス」
「「はあ?」」
二人がすっとんきょうな声を挙げている間にロボットは
「ヨウノナイモノハ、カエレ」と言いながらハタキを振り回し始めた。
「今日はひとまず帰るか?||||」
ロボットに追い立てられて二人は逃げ帰った。
「ちっ、何なんだあのヘボロボット。」
取り巻きを使って(?)棗は蛍作のロボットを攻略した。
その裏には病院送りにされた取り巻き達の涙ぐましい努力があったのだが……。
「マイリマシタ」
「やっと、止まったか」
呟くと棗は蜜柑の部屋に入っていった。
「ちっ、まずいわね」
その様子を見ていた蛍は舌打ちをした。
「こうなったら―…」
☆☆☆
「さてと、ロボットは片付いたし。水玉は…」
棗の見た先にはベッドがあった。
「部屋が狭いお陰で見付けやすいな」
棗はニヤリと笑みを浮かべるとベッドの上にのしかかった。
「蜜柑、覚悟はいいか?」
棗が布団を捲ると同時に
「掛かったわね!」
「っ?!」
バッと布団を押し退けて出てきたのは蛍だった。
「何でお前がここに?!」
驚きを隠せない棗に勝ち誇った笑みを浮かべる蛍。
そうこうしていると
「ふぁ〜、蛍?どうかしたん?あれ??棗?二人共、何してるん?||||||」
蜜柑が欠伸をしながら、いもむし1号から出てきた。
「!!蜜柑、助けて〜、日向くんが……」
「それ向けたまま言っても説得力ねえけど」
蜜柑の目には蛍にのしかかり襲おうとしている(?)棗の姿だった。
「なぁ〜つぅ〜めぇ〜(怒×3)ウチの蛍に何してるんよ!!」
蜜柑の怒りは爆発寸前。
「はっ?何もしてねえ(怒)」
棗はさっと、ベッドの上から飛び降りると蜜柑の側に寄った。
「じゃあ、なんでここにおるんよ?」
「それを言うなら今井もだろι」
「蛍は…ええねん。ウチの親友やから!」
蜜柑はえっへんと威張っていた。
「はっ?まあ良い、ちょっと来い!」
「へっ?!痛いやん棗〜(泣)」
蜜柑は髪を引っ張られたまま引きずられて行った。
「ふっ、私の作ったロボットを倒すなんて流石は幹部生ね。
でも……次はこんなんじゃ済まさないからね!!」
覚悟なさいと蛍は蜜柑の部屋で呟き、ベッドから降りると部屋に帰った。
★★★
「棗、なんやの?|||||」
「無事に部屋に帰りたかったら、あのヘンテコなロボットを教育しろ!!」
「分かったっ!!分かりましたっ!!(汗)」
次の日、蜜柑は強制的にロボットを教育させられた。
「守〜るくん?棗はな、ウチのパートナーやから一応安全やと・・・・思うよ?」
「ワカリマシタ。」
『日向棗 要注意・危険人物、ブラックリストNO.1削除』
「サクジョ カンリョウシマシタ」
「要注意・危険人物ってなんだよ……。あいつの方がよっぽど……」
「んっ?なんか言った、棗?」
「別に」
その後、ロボットは棗により再教育され、夜蜜柑を守るためではなく
二人っきりの夜の楽しみ(?)を守るために使われた。
その様子を蛍は、壁に耳アリ目アリシールで見ていた。
「まぁ、写真が売れるから今回は良しとするか\\\\\」
セキュリティとしては失敗だったが、金儲けとしては成功した発明品だった。
終わり☆
○椎野
ほのか様へ○
この度はキリ番である35000番を踏んでいただき誠にありがとうございますっ!!
ご報告もしていただいて嬉しい限りです。
リクエストの内容は、蛍印の「夜のセキュリティー」(棗の侵入)対策をした蜜柑に対し
何が何でも忍び込もうと企む俺様主義の棗様が登場する小説で、結果は忍び込み成功でしたよね?
かけ離れてる気がします(汗)対策をしたのは蜜柑ちゃんじゃなくて蛍様だし………。
結果的には、棗君は侵入に成功するのですが………。
椎野
ほのか様、書き直し&返品などなど随時受け付けておりますので・・・。
何はともあれ、キリ番おめでとうございました☆
今後ともよろしくお願いいたします。
では、良いお年をお迎えください。
H17/12/27/TUE
PM0:47
箕田 美夏 拝
++管理人の後書き++
箕田 美夏様のサイトでキリ番を見事に踏みましたので小説をリクしました。
棗様には"諦める"と言う単語が無い事を身に締めて分かりました(何言ってんだコイツ)
年末に素晴らしい小説が頂けて、満足しました。
では、このへんで…。良い、お年を!!
2005.12.29