置いていかないで!!置いていかないで・・・・お・・・・母さん。



++置いていかないで……++



「蜜柑?大丈夫蜜柑?」


蛍に声を掛けられるとバッと起き上がる蜜柑。
蛍はビックリして、声を掛けた。


「どうしたの蜜柑今日はやけに、元気がないのね」


蛍に言われると蜜柑はウトウトしていた。
夢を見ていたのだった。
遠い遠い過去の夢。
女の人が、鳴海先生と歩いている。一人の女の人あの人は誰なのか。
そこには、知らない先生が居た。女の人と仲良しそうだ。


「なんでもあらへんよ!!!えへへ。あ、そうやウチ、行かなきゃあかん!!」


蛍に「どこへ」と聞かれると、蜜柑は言った。
「体育館!!」と答えた。
でも、それは真っ赤なウソでも、それに気づかずに蛍は見守っていた。
だが、一人だけが分かっていた。
蜜柑の行く先についていく一人の少年。
蜜柑の行った先は蜜柑が夢で見た、あの場所だった。
暗く、静かな場所。蜜柑は静かにこう言った。


「あなたは誰なのですか?ウチをどうしたいのですか?」


蜜柑が言うと棗がボーっとしていた。
信じがたい事実が起こったのだ。
なんと、真っ黒な空間が蜜柑に近寄ってきた。
蜜柑はボーっとし始めて、その空間の中に入って行った。
蜜柑が入って行ったので、棗もあわてて中に入った。
そして、その空間は何もせずに消えた。
気がつけば不思議な所に居た。
見たことのあるような場所。
あいつがいた。蛍が、Zに撃たれたとき、Zを追いかけたときに居た、あの時のリーダー。


「うまい事やったな。無効化も手に入れたし、それに、黒猫まで・・・・」


クククッと笑い声が聞こえる。不気味な笑い声。
蜜柑はまだ気を失っている。
目覚めないほうがいい。今の状況を知った所で、大変だからな。いろんな意味で。
だが、そんな事を考えているうちに蜜柑は目を覚ましてしまった。


「ん・・・・」


蜜柑はここがどこだか分かっていないらしい。
ぱちくりと目を大きく開けてボーっとしているだけ。大丈夫かと思っていたら、Zの奴らが近づいてきた。
蜜柑が狙われているのが一番不明だが。


「お前が、安積 柚香のアリスを防げるとはね」


それが目当てかと思った。
安積 柚香はレベル的には高い方だ。
そのアリスを防げるとすると、相当のアリスの強さ。
だから、自分達も守ってもらえるような強いアリスを探していたんだな。
志貴と柚香に裏切られれば、蜜柑を狙うって訳か。
自分の娘ぐらい守れってんだ。
火がボッと出た。あわてて蜜柑を離すと、蜜柑は気がない今じゃあ抵抗なんてしない。


「蜜柑に触るんじゃねぇ」


蜜柑を守るのに一生懸命になっていた。
だが、敵は刃物で蜜柑に突きつけた。


「こいつが殺されたくなかったら、こっちの命令に従え!!!!」


すると、こっちも手を出せなくなった。
蜜柑が気を確かにしてくれないと困る。
その時だった。
蜜柑は、刃物を突きつけられていることを知って、スススッと避けていった。
敵はもちろん蜜柑に突きつけられていると思っている。
蜜柑が棗の所に居たから、敵はビックリしていた。
敵は後ろを振り返った瞬間にいなかったから、ビックリした。


「何で、いないんだ!!」


敵がビックリしている間に逃げて行った。
無事逃げ切ると、蜜柑は笑っていた。
だけど、棗が蜜柑に聞いてきた。


「何か悩みあるんじゃないのか?」


蜜柑は「ないない」と答えただけど、棗は続けて言ったので、蜜柑はポロポロと涙が出てきた。
蜜柑が泣く中、棗は理由を聞こうとしていた。
でも、聞く前に蜜柑から言ってくれた。


「ウチ、夢見たん。そうしたら、鳴海先生と先生らしき人と女の人でいたけど、
 だけど薄い記憶だけど、覚えてるんや。なんか、女の人がウチの母親なような気がしてきたんや」


蜜柑が下を向きながら言った。
どうしてこんなに悲しいのだろうと自分でも思う。
でも、それでも話を続けた。


「それでウチ、怖くなって、居ないって信じてたん。
 それで、そのあと、教室を出た後、職員室の前を通ったら、先生達が、言ってたん。
 『佐倉 蜜柑には、母親が居るらしい。それも、Zの仲間だ』って言ってたん。
 それで気になって、Zに会いに行ったけどいなかったわ。
 もう、どうしたらいいんやろう。ウチ、お母さんに会いたい!!」


悩みをぶつけると、蜜柑は笑った。


「アホやな、こんな話。もうええんや。聞いてくれたおかげでスッキリした・・・・・!!!?」


急に棗が蜜柑を抱きしめた。
それは、すべてを受け止めてくれるような感じだった。


「それが、お前の思いなんだろう。だから、その気持ちを忘れるな。そうしたら、いつか会えるよ」


そう言ってくれた。
もう、一生会えないかと思うと悲しかった。
だけど、その言葉をくれたおかげで、助かった。自分の心が晴れた。
再び芽をだそう。そして、花をさかそう。自分の心に。




END

++あとがき++

ほのか様への捧げ物です。
シリアスになってしまいました。
つまらないかもしれませんが、読んでもらえると光栄です。
それでは、ほのか様へ捧げ物としておくります。


いつか、皆様の心に花が咲きますように


+管理人の後書き+

管理人の主催による「白狐同盟」で、お世話になりっぱなしのユリ様から
シリアス小説を頂きましたv
小説の内容に白狐が含まれていませんでしたので、本サイトの方に載せました。
素晴らしい小説を、ありがとうございました。

2006.2.2