++涙の意味++


ポカポカ陽気。
そんな中、お昼寝していないわけがなくスヤスヤと
秘密の場所で2人のお昼寝タイム。


「蜜柑」
「ん・・・なつ・・め・・・。」

愛しい人物を呼びその声に応答するかのように彼女は
自身の名を呼ぶ。
それは寝言だと分かっている。けど、夢の住人にも自身はなっているのかと、
彼女の中で存在が大きくなっているのが嬉しくなり笑ってしまう。
隣で横になり寝ている蜜柑にそっと手を伸ばし一房の髪に触れる。
見た目以上にサラサラとしていて、手の中に収めても
彼女のじっとしていられない性格のようにスルリとすべり落ちてしまう。
それが彼女が自身から離れていきそうだった______


「棗?」

いつの間にか起きていた蜜柑に多少驚きながら“なんでもない”と
彼女に背を向ける。そして今思った気持ちを流す。
表には出さなかったはず。けれど、蜜柑を気づいたのか後ろから抱きしめてくる。


「棗、大丈夫やよ。側にいるよ。」

そのぬくもりと言葉に安堵する。
自分はこんなにも弱かったのかと今更ながら思う。
それを無条件で受け止めてくれる蜜柑の存在が更に大きくなる。
弱い自分を知っている彼女の前だからこそ涙を流すことが出来る。


「・・・全部だしい。いつまでも1人で抱え込むことないんよ?棗が変になるで?」
「・・・お前とは違うからな。その辺は心配ない。」
「それ・・イヤミや。」

そう言いつつも抱きしめてくれる。
言ってることとやってることは違うけど”形“はどうあれ『受け止めてくれる』
彼女が嬉しかった。


「棗の涙って綺麗。」
「・・冗談」
「事実や。」

何もかも見透かしているような目。
捕らえた物を離さない目。
けれど、どこか寂しそうな目。
苦しさを知っている棗だからそれほど綺麗な涙を流せるんね。




『涙』はその人の心の一部だから___________。




終わり

後書き

白神 銀那様のサイトで、相互サイト記念として貰いました。
ありがたく頂戴 仕ります。
素晴らしい小説を ありがとうございました!!

2005.9.15