アリス学園の敷地に佇むセントラルタウン…。
其処の人気名物は誰がなんと言っても「ホワロン」である。
今日は、新作味の「ホワロン」が発売開始したのだ。
「今日は土曜日だし、セントラルタウンに行こうぜ!」
遠隔操作(本田)君、小太りで短気(松木)君、鮫帽子(笠井)君、猫耳帽子(飯塚)君が
放課後にセントラルタウンに行こうと話題をしていた。
「そう言えば、新作味のホワロンの発売開始日が今日だったな〜…」
「男ばかりで行くのも味気ないからさぁ…佐倉の奴を誘わないか?」
「松木…、お前はフェロモン飴の騒動で懲りたんじゃなかったのかよ!?」
注:フェロモン飴の騒動の意味は、「子供心の好奇心」をお読みください。
「佐倉を誘いたいのは山々だけど…、棗さんと一緒じゃないとセントラルタウンに
行けないって言ってたからな〜…」
神野が蜜柑に告げた事を、恨めしく思いながら言う飯塚君。
「だったら、棗さんにバレないように誘えばいいじゃないか。
大体、佐倉は棗さんの所有物じゃないだろ!?」
「いいのかな〜…?」
取り巻きの中で、棗との付き合いが長い(?)本田君は、半ば後ろめたい
気持ちでいっぱいだった。勝手に連れ回して良いものかと…。
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「どういう風の吹き回しやの?本田君達がウチをセントラルタウンに誘ってくれるなんて…」
「まぁまぁ…細かい事は気にしない、気にしない!」
「…でも、ウチ…じんじんから「パートナーの同行のみセントラルタウンに行く事を許可」と言われてるし…。
それに…この事がバレたら棗に…」
最近の棗は、翼や殿内を始めとする男と一緒にいると必ずと言っていい程
引き剥がされてしまい、棗の部屋に
「いいから、いいから!」
「そんな事より、今日は新作ホワロンの発売日だ。
ゆっくりと味わって食おうぜ」
「えっ!!ホンマッ!?行く〜〜〜ッ!!」
蜜柑に、子犬の耳と尻尾が生えている幻が鮮明に見えました。(笑)
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ホワロンを売っている店に並んでから10分後…。
それぞれ、新作ホワロンの味を堪能していた。
「いや〜〜〜……うめぇな〜〜…」
「笠井。こっちのコーラ味のホワロンもいけるぜ」
「新作味のホワロン、美味しくて最高やぁ〜〜〜!?(○■○)」
蜜柑がストロベリー味のホワロンをもう1個食べようとした時に
ツインテールの片方を引っ張られた。
その先にいたのは…。
「…随分と楽しそうだな。俺と一緒にいる時よりも…」
「な、棗さん…どうして此処に…!?」
不機嫌オーラ全快の棗が立っていた。
突然、棗が現れた事により本田君は顔を真っ青にしながら震えている。
蜜柑と一緒にセントラルタウンにいる事は、棗は知るはずがないからだ。
「…壁に耳あり障子に目ありだ。
今回は場所が場所であるが故、お前達のお咎めは無しにしてやる」
俺様を出し抜けると思うなよ、と松木君に言い残し、蜜柑のツインテールを
引っ張りながら去って行く。
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「痛いっ!痛いっ!!、離してよぉ〜〜〜!!」
「………」
必死になって、「離して」と棗に訴える蜜柑。
しかし、棗はツインテールを引っ張る力を緩めようとはしない。
緩めたら、蜜柑が逃げてしまうからだ。
連れてかれた場所は勿論、棗の部屋。
「ふわぁぁぁっ!!………んんぅ!!//////」
ベッドの上に蜜柑。その上に棗と言うかたちで彼女の上にのしかかり
棗は無理やりピンク色の唇を奪うかのように己の唇で塞ぐ。
やっとの事で、唇が離れた時は銀色の糸が2人を繋いだ。
「…セントラルタウンに行けるのは、俺様の同行のみって事を忘れた訳じゃあるまいな…?」
「だっ…だって…今日は、新作ホワロンの発売日やったから…」
この場から逃げ出したい蜜柑だが、棗の赤い瞳による鋭い眼差しが凶器に見え
抵抗すると言う行動がとれない。
「罰を与えなきゃいけないようだな…」
「へっ…!?何それ?何やのそれ……??」
棗は、制服のズボンのポケットから蜂蜜のような液体の入った瓶を取り出した。
「…あんなもんよりも、新作の薬の良さを堪能させてやるよ…」
そう言いながら棗はニヤリと笑い、瓶の蓋を開けた。
その後…蜜柑はその薬の効果によって、棗の目の前で何度も鳴かされた。
終わり
後書き
本編のラストに登場した「新作の薬」の意味が分かった人が、いますでしょうか?
良い子は、その意味が何なのかは親に直接聞いたり、深読みしないでください。
ホワロンの味は、ミルキーな味が基本ですがストロベリーとかメロン、コーラ味なんかがあったら
もっと良いのでは…と思いました。
棗の「俺様」口調が好評に、なりつつありますので嬉しい限りです!!
2005.9.7