++甘い罠――流架編――++
特力の教室で、明良が鳴海に負けないぐらいのフェロモンを撒き散らしながら
蜜柑をコアラ抱っこしていた。
「ところで殿先輩〜。バレンタインデーのプレゼントは何がえぇ?」
「そうだな〜チビちゃんが欲しい…と言いたいトコだけど……(汗)」
「?」
「チビちゃんの作ってくれるチョコだったら何でも良いよ〜v」
「ホンマッ!?あっ…そや……!」
蜜柑が何かを思い出したかのように声をあげる。
「殿先輩!遂に…『変態』したよ!」
蜜柑を迎えに行こうと特力の教室の扉を開けようとした、流架の腕がピタッと止まる。
「おぉ〜!そうか〜!」
「うん!それで…『変態』したところを殿先輩に見て貰いたいんやけど…」
「それじゃ…明日の放課後に楽しみにしてるからね〜v」
蜜柑の口から出た『変態』と言う言葉に、流架の思考が一気にブラックモードに変貌した。
******
「へ…?」
明良と別れた蜜柑は初等部寮に戻る途中、麻酔薬を染みこませた布の匂いを嗅がされた蜜柑は意識を失い
暫くしてから目を覚ますと、シャワーをかけっ放しの状態で両手を頭上に縛られていた。
「何や…気色わるっ……って…違――――うっ!!!!!!」
頭をブンブンと横に振り、自分の現状を冷静に把握しようとする。
ウチは確か…殿先輩と別れてから、初等部寮に帰ろうとする途中で意識を失って
それから……何で、ウチが縛られなきゃアカンの〜〜〜〜!!??
ガチャ…と言う音を立て、流架が風呂場に入って来た。
「あっ…起きたんだ?」
「あっ…流架ぴょん!何処なんや此処は?」
「何処って…俺の部屋の風呂場だけど…」
「何でウチ、縛られるの?早く解いて……」
「…ダ・メ」
クスッ…と笑いながら解くのを拒否する。
「常日頃から下半身に爆弾を抱えた先輩に、抱きついたばかりか…
『変態』したところを見て貰いたいなんて言うからだよ…」
「流架ぴょん…あの話を聞いてたん?」
「君の口から『変態』と言う台詞を他の男の前で言うなんて…下品だよ。
そんな下品な事を言う佐倉に、お仕置きをしないとね……」
「ちょ…待って…っ…ちが……っ…んんっ……」
蜜柑は何とかして抵抗しようとするが、縛られているので為す術が無いまま流架に唇を奪われてしまう。
数分にも及ぶ濃厚なキスに、蜜柑の抵抗意識は薄れてしまう。
すると…流架のウサギが慌てて風呂場に入って来た。
「あっ…ウサギ…どうしたの…?」
ウサギがプラカードを掲げると其処には、こう書かれていた。
『蜜柑の言った『変態』とは、そっち系の意味ではなく
殿先輩から貰ったオタマジャクシが蛙に成長したので、それを知らせようと
『変態』と言う言葉を使っただけだよ!』
「オタマジャクシが蛙に……(汗)」
つまり流架は『変態』の意味を間違えていたようだ。(間違えるのも無理もないが…)
「…これで分かったやろ?
ウチは、殿先輩から貰ったオタマジャクシが蛙に『変態』した事を殿先輩に言っただけや。
お願いやから離してよ……っ(涙)」
「…それでも、俺の気が収まらない。
バレンタインの前夜祭と言う事で…頂きますv」
「嫌ぁ〜〜〜流架ぴょん…正気に戻ってぇ〜〜〜!!!!!」
ブラックモードとなった流架を止める事は、もう不可能になり
結局、蜜柑はバレンタイン前夜祭と言う口実で流架に美味しく食べられてしまった。
バレンタインの翌日、明良は動物の群れに襲われて病院送りとなり
蜜柑からチョコを貰える事は無かったと言う……(哀れ、殿/by.翼)
終わり
後書き
久しぶりに流架×蜜柑小説をアップしました。
本編で出た『変態』は、オタマジャクシが蛙に成長すると言う意味で
決して、そっち系の『変態』ではありません。
今回の流架はブラックモード全快で、蜜柑が流架にチョコを贈ったのは言うまでもありません。
この小説の感想をお待ちしています。
2006.2.13