++危険な夏++



衣替え…。それは毎年6月から9月まで夏用制服着用と言う、最も危険な時期である。
高1まで進学した蜜柑は、誰もが惹き付けるぐらい魅力的な女性に成長していた。
しかも色白とした細い腕に、スカートから見える生足に
「プリンセス・ミカン」5代目会長 瀧島は、何としてでも自分のものにしようと企んでいた。


「会長…、次はどんな作戦で蜜柑を物にするんですか?」

「会長が蜜柑にあんな真似をしたせいで、日向 棗が厳重体勢の如く
 蜜柑をガードしているんですよ」


あんな真似とは!?
詳しい内容は「燃え上がれ」に記されています。


「この俺に不可能と言う文字はない。俺が、日向 棗になれば良いのだからな」

「「「「はぁ?」」」」

「ここに、幽魂飴(ゆうこんあめ)がある。俺が飲めば、口の中から魂が飛び出し
 好きな身体に取り憑く事が可能と言うわけだ」

「…と言う事は、その飴を利用して会長が日向 棗の身体を乗っ取ると言うんですね?」

「そうだ。見た目は日向 棗だが、中身は俺と言うわけだ。
 そこで、俺と蜜柑は晴れて両想いとなり、めでたし めでたしだ…」


時代劇さながらの悪巧みの密会を交わす『プリンセス・ミカン』。


「会長の悪巧みには恐れ入りました」

「石原、それはお互い様だろ?」

「「「「「ぐわっはっはっはっはっはっ!!!!」」」」」


ドカッ……!!!!


「たわけ」


青筋を浮かべながら、棗が瀧島に蹴りをお見舞いした。


「「「「ひゅ…日向 棗ぇ!?」」」」

「テメェ…!!日向 棗 いつから其処に!?」

「あれだけ、馬鹿みたいな大声出してりゃ誰だって聞こえんだよ」


奪った幽魂飴を『プリンセス・ミカン』にめがけて放り込んだ。
幽魂飴を飲んでしまった『プリンセス・ミカン』は、幽体離脱した。
本体の身体は抜け殻状態と化し、間抜けとしか言いようがなかった。


「一生彷徨ってろ」


と、冷たく踵を返した。


「なつめぇ〜〜〜!!」


高等部の校舎から蜜柑がやって来た。


「一体、何処に行ってたんや!?もうすぐで授業が始まるんやで!!」

「悪霊退治をしていたんだ…。しょうがねぇだろ?」

「んんんぅ〜〜〜!!??」


蜜柑は棗に唇を塞がれた。


「何するんや〜〜!?」

「何って…キスに決まってんだろ?」

「突然キスをするな〜〜!!それに…平然と言うな!!」

「ほぅ…悪いのはこの口かな…?(ニヤリ)」


棗の赤い瞳に怪しさを感じた蜜柑は、ビクッとした。
こういう時の棗は、逆らうと何をされるか分からないからだ。


「授業が終わったら……俺の部屋行き決定!」

「や〜〜〜……勘弁して〜〜〜……(涙)」

「もう遅い(キッパリと)」


涙目で訴える蜜柑だが、悪戯心に火が付いた棗を止める事は不可能だ。
これだから夏と言う季節は、危険極まりなかった。


因みに、瀧島たちはと言うと…。


授業をサボったとして、神野にお灸を据えられたのは言うまでもない。(アホだ)




終わり


後書き

「フェロモン飴」に続き、またしてもオリジナルアイテムを出してしまいました。
幽魂飴は、飲むと口の中から己の魂が飛び出し、好きな相手の身体に取り憑き
その身体を、自分のものにする事が出来るアイテムなんです。
よ〜く考えたら「危険能力」同然のようなアイテムですよね!?


2005.9.8