++桃色天国++



中等部に進級した蜜柑は、土曜日や連休の日が近づいてくるのが憂鬱だった。
必ずと言っていい程、棗が蜜柑を部屋へと連れ込み、そこで『めくるめく世界』へと誘われてしまうからだ。
暫くの間、棗を大人しくさせるのに何か良い方法はないかと…ある雑誌のページを捲った…。
すると蜜柑は、ある1ページに載っている欄に釘付けとなった。
これなら上手くいくかもしれないと思い、行動を実行に移す決心をする。


******


「おい。今日は土曜日だけど、俺の言いたい事…言うに及ばずだよな?」


蜜柑が、ある『行動』を棗にしようとするのを知らずに「俺の部屋へ来い」と合図を送る。
カップルによって合図は異なっているが、棗と蜜柑の場合は土曜日や連休の間の夜だった。


「…えぇよ。それより、コーヒー飲むやろ?」

「あぁ…」


やけに気前が良いのに疑問に思ったが、棗は蜜柑にコーヒーを入れるよう頼む。
棗がベッドの上で雑誌を飲んでいる間に、蜜柑は野乃子から貰った粉末の薬をコーヒーの中に混入した。
湯気の立つコーヒーの中で完全に薬が溶けきったのを確認した蜜柑は


「お待たせ〜。はい、コーヒー」


棗にコーヒーの入ったカップを渡した。
薬が混入されている事も知らずに棗はコーヒーを飲んだ。
全部飲んだのを確認した蜜柑は…


「…何だよ?俺の顔に何か付いてるのか」

「…別に」

「変なや…っ!?」


コーヒーを飲んでから数分後。
薬の効果が現れ始めたのか、棗に睡魔が襲う。
瞼が重くなり、棗はそのまま深い眠りに就いた。


「棗…今日はアンタが思いきり鳴く番やで…」


蜜柑は「クスッ…」と怪しげに笑いながら、深い眠りに就いている棗を見据える。


******


「…っ…?」


数時間後、棗が目を覚ました。
部屋の電気が消され、窓にはカーテンが閉じられている。
恐らく夜の時間になったのだろう。
棗は起きあがろうとしたが…


「!?」


シルク製の布で、それぞれの腕を縛られているので起きあがる事が出来なかった。
目の前に信じられない現状を突きつけられた棗は、もしやと思い…。


「まさか蜜柑の奴…コーヒーに睡眠薬を…?」

「ご名答。流石は棗…勘が鋭いんやな…」

「みか…っ!?」


聞き覚えのある声が部屋の扉から聞こえ、顔だけでも起こした。
棗の目に映ったのはセクシーと呼ぶに相応しい網タイツを履き、ナースの服を着た蜜柑が立っていた。


「一体、何の真似だっ!?」

「何って…決まってるやろ…?」


男を誘っているとしか思えないような歩き方で棗の側に近づく。


「夜になったら、いつもいつもウチを鳴かしてるやろ?今日はウチが…し・て・あ・げ・るv」

「何も…こんな事しなくても…っ…ん…っ」


棗の言葉を遮るかのように蜜柑が唇を塞いだ。
熱くて濃厚なキスを、蜜柑からして貰うのは初めてだった。


――――ゴクッ…


舌を絡まれると同時に棗は喉を鳴らしてしまう。
正確に言うと、蜜柑に何かを飲まされたと言った方が正しいだろう。
銀色の粘っこい糸で繋がったのを確認し、蜜柑は唇を離した。


「な…にを……飲ませ…た…っ」

「殿先輩に貰った…び・や・く



縛られている棗を余所に、着ているシャツのボタンを1つずつ丁寧に外していく。
蜜柑以外の女なんかに見せたくない身体が露わになる。


「…み…かん…っ……なに…を…っ」


ナースの服を脱ぎ捨て、水玉やら熊柄と言った下着ではなく
漆黒によるセクシーな下着姿を棗の目の前に晒した。
蜜柑のセクシーな下着姿を見て、興奮しない男がいるはずもない。


「言ったやろ…今日はウチがしてあげるって…」


蜜柑は顔を赤くして興奮気味の棗の前で、ス●リッパーショーを始める。
セクシーな黒いブラジャーに黒い下着のみの蜜柑の姿に棗の吐息が荒くなる。


「……蜜柑っ……」


上ずった棗の声と、情欲に濡れた瞳に蜜柑は少し気を大きくする。


「……外せよ……っ//////」
「だ・め



尚もス●リッパーショーを披露する。
セクシーな下着姿によるス●リッパーショーを見ている内に、棗の下半身に変化が起きていた。
蜜柑は身体をくねらせながら棗の側に近づき


「桃色天国へ…いかせてあ・げ・る



棗の上に跨り、めくるめく桃色天国の世界に染まった…。


******


数時間後…。


「棗…どう?最高やったやろ?」

「あぁっ…まさか、お前からしてくれるなんてな…」

「これに懲りて少しは控えてくれるやろ?」


そう言いながら、蜜柑は棗を拘束しているシルク製の布切れを解いた。
その瞬間…


「へっ…?」


バフッ…と音を立てて、ベッドの上に押し倒されてしまう。
今までのお礼をたっぷりしたいかのように棗が悪魔のような意地悪な笑みを浮かべている。


「な…棗さん。何を…(大汗)」

「何って…言うに及ばずだろ?今度は俺がお前を鳴かせてやるよ…(ニヤリ)」

「で…でも…棗…疲れてるやろ…(大汗)」

「ヤれる(キッパリと)」

「ちょ…ちょっと待って…っ…あっ…!!//////」


こうして…蜜柑は毎度お馴染み通り、シーツの波に溺れながら棗に鳴かされた。
棗の動きは、いつにも増して激しかった…。




俺様に゛懲りる゛なんて文字はねぇんだよ!!(by.棗)




終わり


後書き

琥珀さんからのリクエストである小説をアップしました。
これは、どう見ても…R-15としか思えません。(自分で書いておきながら何を言うか)
セクシーな下着姿によるス●リッパーショーは、やりすぎだったかなと反省しています。
蜜柑×棗に見えるかもしれませんが、リクエスト通り棗×蜜柑に仕上げました。
こんな駄文で宜しければ、琥珀さんのみ持ち帰って結構です。
では、このへんで…。

2005.10.24