++竹取物語++



昔々、あるところに竹取をするおじいさんがいました。


「誰がジジィだ!?(怒)」


今日も良い竹はないかと竹林の中を歩いていたら黄金に輝く竹を発見しました。
おじいさんは早速その竹を切ると…中から輝かしいと言わんばかりの女の子がいました。
しかし、おじいさん翼は見ず知らずの女の子を連れ帰るのはどうかと思い
そのまま帰ろうとしましたが「コラッ!そのまま帰るな!!」と言わんばかりに
女の子の入っている竹の中から温泉が湧いたかのように大判小判が山の如く吹き出しました。


「…これって、夢?…それとも幻??」


…と思いながらも若者は仕方なく、女の子と大判小判が次から次へと
湧いてくる黄金の竹を持ち帰りました。


******


「翼!!テメェ…こともあろうに幼児を誘拐してくるなんて、どう言う了見だ!?」


翼の帰りを待っていた、おばあさん…


「誰がババァだ!?(大激怒)」


お婆さん美咲は、女の子を抱きかかえて帰ってきた翼の姿に
いまにも乱闘を起こしかねないような勢いで詰め寄る。


「へぇ〜翼〜……お前にしては、なかなかやるじゃん」

「可愛い娘だな〜」

「げっ!!お前ら何時の間に!?」


竹取仲間である明良とメガネ君が、女の子を抱いている翼を見ながらニヤける。
翼は「やかましい!!」と言いながら、ハリセンで明良とメガネを頭を叩く。
その光景に無視しつつも美咲は、この女の子に『蜜柑』と言う名前を付けました。

貧しいながらも竹取で生計を立てていた2人でしたが
大判小判が湧いて出てくる黄金の竹を元手に、蜜柑に着物を買う事が出来ました。
おかげで千両箱がいくつあっても足りないぐらいです。


******


やがて月日は経ち、蜜柑は美しい娘へと成長しました。
都でも彼女の美しさを知らぬ者はいないぐらいになり
皆は彼女を『かぐや姫』と呼ぶようになりました。
『かぐや姫』の噂を聞いた5人の貴公子たちは、姫に会わせて欲しいと願い出る。
諦める様子のなさに、姫は渋々彼らに会う事にしました。
但し、姫との結婚には条件があった。


「ウチが願う物を探してきた人と結婚するわ」


それは探すのが難しい物ばかりでした。
蜜柑は、5人が断ってくれるのを望んでいたのです。


遠い天竺の国にあるという仏の『仏の石の鉢』

蓬莱山にあるという『蓬莱の玉の枝』

火に入れても燃えない『火鼠の皮衣』

海竜の顎の下にあるという水の珠『竜の首の玉』

燕が持っているという『燕の子安貝』


――――である。


しかし、5人の貴公子たちが持ってきた物は、どれも偽物ばかりで
姫と結婚する事は出来ませんでした。
ついには、都の帝までもが結婚したいと名乗りを上げたのです。
当然、姫が会いたいと首を縦に振るはずがありませんでした。


******


更に、3年の月日が経ちました。
十五夜の満月の夜、月から牛車が舞い降りてきました。
牛車の中から現れたのは…


「やっと探したぞ。こんな所にいたとはな…(怒」


黒髪に赤い瞳をした姫と同じ歳ぐらいの若者―――棗でした。
彼の姿を目の当たりにした蜜柑は、一瞬で真冬が来たかのように凍りつきました。


「お前の知り合いか…?」

「そんなんじゃねぇよ。俺は、こいつの夫となる男だ」


棗は、牛車から降りて土足でドカドカと家に踏み込んで来ました。
彼は月の世界の帝で、蜜柑とは幼い頃からの婚約者だったのです。


「良かったな〜蜜柑。お前に結婚相手がいたとは驚き…あれ…?」


美咲が蜜柑のいる方を振り向いた時には、蜜柑の姿がなかった。




「ハァハァハァ……」


蜜柑は、自分が生まれた場所である竹林の中を懸命に走りました。
着物の姿では満足に走って逃げ切れるはずもなく…


ガシッ…!!


「あっ…!」


あっと言う間に追いつかれてしまい、姫は優雅な仕草で棗に押し倒されました。
幸い、地面の枯れ葉がクッションとなり、背中に痛みを感じませんでした。


「…祝言を挙げる前夜に、地球へと逃げ込むとはな…。
 月の世界を隈無く探しても見つからなかった訳か…(怒)」


蜜柑の顎を掴み、グイッと引き寄せました。
珊瑚のように艶めかしい唇を奪うかのように己の唇で塞ぎました。


「んっ…!?ん…んんぅ…や…っ…!!」


蜜柑は必死で抵抗を試みますが、所詮は男と女。
腕力の差は一目瞭然である。


ゴクッ…!


「!?」


蜜柑は、何かを飲んでしましました。
正確に言えば棗が接吻の最中に何かを飲ませたと言った方が正しい。
やがて蜜柑に睡魔が襲い、1分もしない内に深い眠りに就いてしまいました。
蜜柑が棗に飲まされた物は睡眠薬だったのです。
棗は深い眠りに堕ちた蜜柑をお姫様抱っこで抱きかかえ
「こいつが世話になったな」と言いながら牛車へと乗り込み
意気揚々と月の世界へと帰っていきました。




月の宮殿へと戻った棗は、就寝所で蜜柑を美味しく頂きました。




祝言を挙げてから1ヶ月後には、棗がいなければ生きていけない体質になってしまったと言う……。




めでたし めでたし?

後書き

もはや「竹取物語」では、ないかもしれません。
特にラストの月へ帰っていくシーンなんかが…。(汗)
1度は経験してみたいですよね。
大判小判をチャリン…チャリン…と音を立てて宙に放り投げるのを…。
この小説の感想を お待ちしています。

因みに配役は…

かぐや姫…蜜柑
おじいさん…翼
おばあさん…美咲
   ・
月の帝…棗
   ・
竹取仲間1…明良
竹取仲間2…メガネ君

2005.9.30